「オズの魔法使い」の裏話、また後日談として、
悪い魔女・エルファバと良い魔女・グリンダの友情を描いている作品である。
「雪とアナの女王」で「Let It Go」を歌うイディナ・メンゼルは
このWICKEDでトニー賞を受賞している。
日本では現在劇団四季で上演されているので、機会があれば観に行かれることをおすすめしたいが、
なかなか劇場は敷居が高い、という方は
まずはブロードウェイ版・四季版のそれぞれのサントラを聴いてはいかがだろうか。
次々と繰り出される美しいメロディとコード進行の魔法に触れてみて損はない。
物語は、オズの魔法使いを知らなくても楽しめるとは思うが
ブリキ男、カカシ、猿、またドロシーや臆病なライオンなど、あの世界のキャラクターが次々出てくるので
やっぱり知っていたほうが楽しめる。
…日本でWICKEDがいまいち根付かなかったのは、
オズの魔法使いを知らない人が多いから説があったが本当だろうか?
誰からも愛されたけれど、唯一自分が愛した人には愛されなかったグリンダと、
誰からも愛されなかったけれど、唯一自分が愛した人に愛されたエルファバ。
いったいどちらがが幸せなんだろう。
いったい何が悪で何が善なのか。
日本では劇団四季が上演しており、私も日本初演は数回観に行った。
(何を隠そう濱田&沼尾コンビファンであった。)
2回目以降の観劇で、プロローグの「Good News」を聴き、その真の意味に気づいた時。
初見ではその曲の美しさやアンサンブルのパワーで泣かされたこの曲の歌詞の本当の意味に気づいた時、涙が止まらなくなった。
このミュージカルが素晴らしいのは、練られた脚本に加え
スティーブン・シュワルツの音楽によるところが何よりも大きいのだが
(これは前回書いた通り)
しかし今回は音楽ではなく、前回予告した通り、日米の反応の違いについて触れてみる。
物語序盤、緑色の肌の女の子(エルファバ)が誕生するシーン。
日本の反応は---少なくとも、私が四季を観に行った数回に関していえば、
"とんでもない悲劇が起きてしまった"と観客の空気は静まるのだ。
深刻な事態が起きてしまったと受け止める。シリアスだ。
ところが。
以前、ブロードウェイ版の同シーンの観客の反応を見たときに驚いた。
なんと、緑色の女の子が誕生した瞬間、観客は大爆笑に包まれたのである。
実はこの作品、いわゆる肌の色の差別問題も裏に隠されているわけで
そこから来る反応の違い?
日本で、あのシーンで笑いが起きたら、きっと白い目で見られるだろうし
私にはまったく理解できない感覚。
どちらが良い悪いではなく、きっとこれが文化と思想の違いなのだろうと、
非常に興味深く感じた出来事であった。
日本での初演でエルファバを演じたのは、すでに四季を退団された濱田めぐみさん。
彼女の歌声もまた素晴らしく…
できれば「Let It Go」の濱田めぐみ版を聴いてみたいと思う今日この頃である。
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