深夜に訪れる至福の時間
"深夜の飯テロ"と名高いドラマ、「孤独のグルメ season4」(テレビ東京系/水曜23:58〜)もついに最終回を迎える。
なんだか寂しいと思っていたところ、これまた深夜の飯ドラマ「深夜食堂 3」(TBS系 火曜深夜1:11〜)が10月から放送することを知った。
どちらもシーズン1から欠かさず見ている、大好きな作品なのだ。
「孤独のグルメ」は、ストーリーよりは食事がメイン。輸入雑貨商の井之頭五郎(もとい松重五郎ともいえる)が幸せそうに、美味しそうに料理を食べる姿を、深夜というどうしようもない時間帯にこれでもかと見せ付けられる。
テレビの前の我々は、その美味しいに決まっている料理と五郎ちゃんの豪快な食べっぷりに
ただひたすら「くそっ、美味そうだ、腹減った--あえてこの汚い言葉遣いにする--」と悶え苦しみながら(深夜の飯テロといわれる所以である)…それでもなぜか幸せな気分で見終え、眠りにつくことのできる作品だ。
対して「深夜食堂」は、料理よりも人間模様がメイン。
深夜0時から開かれる食堂に訪れる客は、どこかみんなワケありだけど、なんだか身近にいそうな人たちばかり。
過去と、今。マスターとの会話。1つのメニューによって繋がっていく人々と、その食事によってもたらされる小さな幸せ。
毎回、これからの未来が見えたところで終わる。
深夜の食事はいろいろな意味で危険だが、美味しい料理というのは人を幸せにするのだ。
日本とアイルランドの共通点?
今回取り上げるのは、この深夜食堂のOP曲、鈴木常吉「思ひで」という作品。
なんてノスタルジックな曲なんだろう。
それが何かはぼんやりとしていて分からない、しかし確実に昔あった何かの感情がよみがえる。
小さな子供の頃の思い出の気もするし、20代前半の出来事かもしれない。
切なく、寂しく、でもどこか暖かいその感情に満たされる。
調べてみたところ、なんとこの曲の原曲はアイルランド民謡「Pretty girl milking a cow」だという。
アレンジの力は多分にあるが、しかしなぜアイルランドの曲が、懐かしい日本の昭和の風景を思い起こさせるのだろうか。
考えてみれば、アイルランドや、先日独立で揺れていたスコットランドの曲は、日本人になじみが深い。
有名なところでは、アイルランド民謡の「ロンドンデリーの歌」「庭の千草」、スコットランド民謡の「蛍の光」などがあるが
日本の音楽と共通点として大きいのが「四七抜き音階」。
ドレミソラ(ヨナ抜き長音階)、もしくはラシドミファ(ヨナ抜き短音階)の5つの構成音からなるものである。
この音階により、遠く離れた国の音楽が、日本人にとっても郷愁を誘う音楽に聴こえるのだろう。
とはいえ、スコットランドやアイルランドの曲は、完全なヨナ抜きではないものもある。
たとえば、「蛍の光」も、メロディーだけ見るとヨナ抜きだが、ハ長調で考えた場合のコードにはFやGが使われている。
アイルランドでは、ヨナ抜きがベースではあるものの、同じくらい西洋の長音階も入るのだが
スコットランドでは、完全なヨナ抜き音階による曲が多い、もしくはハ長調でいうと「シは使うけどファは使わない」のが特色だそう。
恥ずかしながら、四七抜き音階は日本特有のものだと思っていたのだが、どうやら違うらしい。
日本固有の音階ではあるのだが、日本のみに存在しているわけではなく
南米アンデス、アイルランド、スコットランド、中国の一部…に同様の音階が古来から存在しているらしい。
へぇー。知らなかった。
(そういわれてみれば、南米の「コンドルは飛んでゆく」も基本四七抜き音階だ。ソ#などが入るけれど…)
さらに調べてみると、日本独特のものは四七抜きではなく、二六抜き短音階の様子。
つまり、ラドレミソ。
…構成音としては四七抜きの長音階と同じだ。
実はこの件に関して、ネットや本などで調べ始めたところ、膨大な文献が見つかってしまい
さらにはその文化の伝わり方を含めた研究もまだ途中の段階でもあるらしく
気軽に1回のブログで手に負えるネタではないということに気づいてしまった。
さてどうしようか。
個人的には非常に興味があり、この先いろいろ調べてみるつもりだが、
そろそろ深夜食堂が始まってしまうので、ものすごく中途半端ではあるが、今回はここで終わりとさせていただく。
アイルランド民謡を聴きながら、赤提灯下ののれんをくぐるのも良いのかもしれない。
ぜいご 鈴木常吉 by G-Tools |
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