2014年09月21日

第11回:日本とアイルランドの夜 (鈴木常吉「思ひで」)

 深夜に訪れる至福の時間


"深夜の飯テロ"と名高いドラマ、「孤独のグルメ season4」(テレビ東京系/水曜23:58〜)もついに最終回を迎える。
なんだか寂しいと思っていたところ、これまた深夜の飯ドラマ「深夜食堂 3」(TBS系 火曜深夜1:11〜)が10月から放送することを知った。
どちらもシーズン1から欠かさず見ている、大好きな作品なのだ。
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「孤独のグルメ」は、ストーリーよりは食事がメイン。輸入雑貨商の井之頭五郎(もとい松重五郎ともいえる)が幸せそうに、美味しそうに料理を食べる姿を、深夜というどうしようもない時間帯にこれでもかと見せ付けられる。
テレビの前の我々は、その美味しいに決まっている料理と五郎ちゃんの豪快な食べっぷりに
ただひたすら「くそっ、美味そうだ、腹減った--あえてこの汚い言葉遣いにする--」と悶え苦しみながら(深夜の飯テロといわれる所以である)…それでもなぜか幸せな気分で見終え、眠りにつくことのできる作品だ。

対して「深夜食堂」は、料理よりも人間模様がメイン。
深夜0時から開かれる食堂に訪れる客は、どこかみんなワケありだけど、なんだか身近にいそうな人たちばかり。
過去と、今。マスターとの会話。1つのメニューによって繋がっていく人々と、その食事によってもたらされる小さな幸せ。
毎回、これからの未来が見えたところで終わる。

深夜の食事はいろいろな意味で危険だが、美味しい料理というのは人を幸せにするのだ。

 日本とアイルランドの共通点?


今回取り上げるのは、この深夜食堂のOP曲、鈴木常吉「思ひで」という作品。
なんてノスタルジックな曲なんだろう。
それが何かはぼんやりとしていて分からない、しかし確実に昔あった何かの感情がよみがえる。
小さな子供の頃の思い出の気もするし、20代前半の出来事かもしれない。
切なく、寂しく、でもどこか暖かいその感情に満たされる。

調べてみたところ、なんとこの曲の原曲はアイルランド民謡「Pretty girl milking a cow」だという。
アレンジの力は多分にあるが、しかしなぜアイルランドの曲が、懐かしい日本の昭和の風景を思い起こさせるのだろうか。

考えてみれば、アイルランドや、先日独立で揺れていたスコットランドの曲は、日本人になじみが深い。
有名なところでは、アイルランド民謡の「ロンドンデリーの歌」「庭の千草」、スコットランド民謡の「蛍の光」などがあるが
日本の音楽と共通点として大きいのが「四七抜き音階」。
ドレミソラ(ヨナ抜き長音階)、もしくはラシドミファ(ヨナ抜き短音階)の5つの構成音からなるものである。
この音階により、遠く離れた国の音楽が、日本人にとっても郷愁を誘う音楽に聴こえるのだろう。

とはいえ、スコットランドやアイルランドの曲は、完全なヨナ抜きではないものもある。
たとえば、「蛍の光」も、メロディーだけ見るとヨナ抜きだが、ハ長調で考えた場合のコードにはFやGが使われている。
アイルランドでは、ヨナ抜きがベースではあるものの、同じくらい西洋の長音階も入るのだが
スコットランドでは、完全なヨナ抜き音階による曲が多い、もしくはハ長調でいうと「シは使うけどファは使わない」のが特色だそう。

恥ずかしながら、四七抜き音階は日本特有のものだと思っていたのだが、どうやら違うらしい。
日本固有の音階ではあるのだが、日本のみに存在しているわけではなく
南米アンデス、アイルランド、スコットランド、中国の一部…に同様の音階が古来から存在しているらしい。
へぇー。知らなかった。
(そういわれてみれば、南米の「コンドルは飛んでゆく」も基本四七抜き音階だ。ソ#などが入るけれど…)
さらに調べてみると、日本独特のものは四七抜きではなく、二六抜き短音階の様子。
つまり、ラドレミソ。
…構成音としては四七抜きの長音階と同じだ。


実はこの件に関して、ネットや本などで調べ始めたところ、膨大な文献が見つかってしまい
さらにはその文化の伝わり方を含めた研究もまだ途中の段階でもあるらしく
気軽に1回のブログで手に負えるネタではないということに気づいてしまった。
さてどうしようか。

個人的には非常に興味があり、この先いろいろ調べてみるつもりだが、
そろそろ深夜食堂が始まってしまうので、ものすごく中途半端ではあるが、今回はここで終わりとさせていただく。
アイルランド民謡を聴きながら、赤提灯下ののれんをくぐるのも良いのかもしれない。

ぜいごぜいご
鈴木常吉

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posted by sumi at 21:06| Comment(0) | 音楽日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年08月17日

第10回:はに丸ジャーナル

25年ぶりの復活。あの「はに丸」と「ひんべえ」が帰ってきた。
すみれちゃんや神田君、おじさんは元気だろうか。

あれから25年、NHK「はに丸王子」が復活する理由とは?
↑こちらの記事によると
「想定している視聴者層は、かつて、はに丸のお友だちだった大人だ。
35歳プラスマイナス5歳。」

だそうなので
まさに世代的にはど真ん中である。

元気に動く二人に懐かしさを感じつつ、
好きな食べ物は塩とわさびをつけた砂肝と言い放ち、ゲストに突っ込みまくる五歳児のブラックさ(別名:田中真弓さんのアドリブ力)に腹を抱えて笑った30分だったが、
真っ先に私が注目し、興奮したのは、そのOP。
「おーいはに丸」のあの主題歌が、ビッグバンドのジャズアレンジだったのだ。
とんでもなくかっこいい。
(ちなみに、芹 洋子さんが歌うあの主題歌は、本編でちらっと流れます)

この曲の作曲者、福田 和禾子さんはもう亡くなられている。
どなたのアレンジなのか、テロップにも音楽担当の名前がなく、ネットでもいろいろ調べたけれど、まったくわからない。

あのジャズアレンジをフルサイズで聴いてみたい。
そして、それを耳コピしたい。エレクトーン用にアレンジして、弾きたい。

※あのジャズバージョンアレンジについて、何かご存知の方がいらっしゃいましたら、ぜひ教えてください。

それにしても。
25年ぶりということは、確実に今の25歳以下は「はに丸」を知らないわけで…
ジェネレーションギャップを感じた切ない夏であった。

再放送が8月31日(日)午後4時20分〜4時50分にあるそうなので
見逃した方はぜひご覧あれ。

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posted by sumi at 10:59| Comment(2) | 音楽日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年06月06日

第9回:蕎麦屋とヴァイオリン 〜その1〜

無類の蕎麦好きである。
美味そうな蕎麦屋があればどこでも一人で入り、堪能する。
また、自宅でも良く作る。
薬味には、通常の葱や山葵のほか、必ず入れるのはミョウガ、大葉、海苔、ゴマ。
時にはそこに大根おろしとオクラ。場合により納豆。
これでもか、というくらいに大量に入れ……
……このままだと料理ブログになりそうなのでやめておく。


職場のすぐ近くに、食券タイプの蕎麦屋がある。
殆どが500円以下だがなかなか美味しく、安く早く済ませたいときにはもってこいの店だ。
ところがこの蕎麦屋、毎回BGMが変わっている。
何度か通ううちに、大きく2パターンがあることが分かった。

【パターンA】
・Thanatos - If I Can't Be Yours の弦アレンジ版(エヴァンゲリオンのサントラ)
・TAKUMI(なんということでしょう、のときのあの曲)
・ヴァイオリンと管弦楽のためのファンタジア(浅田真央選手でおなじみ)
・情熱大陸
・ソング・オブ・ライフ (世界遺産のテーマ)
・世界の車窓から

【パターンB】
・威風堂々(エルガー)
・木星(ホルスト)
・カノン(パッヘルベル)
・弦楽セレナード 第1楽章(チャイコフスキー)

おそらく、Aパターンはアルバム「イマージュ」がベースであろう。
(Thanatosがイマージュに入っていた記憶はないのだが…)

もともとすべて好きな曲だ。
蕎麦は美味しい、曲も良い。
それなのに、どうにもこうにも落ち着かないのだ。
この違和感はなんだろう。
それなら蕎麦屋にはなんのBGMが合うのかと考えてみたが、すぐに思い浮かばない。

そういえば、ほかの蕎麦屋ではどんな曲がかかっていたっけ。
残念ながらこれも全く思い出せない。

気になった私は、現地調査に出かけることにした。
……けして蕎麦が食べたいだけではない。

つづく。

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オムニバス

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posted by sumi at 09:11| Comment(0) | 音楽日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする